雨の降る寒い夜に国立能楽堂へ。今月鑑賞する能は「当麻」。當麻寺の曼陀羅に纏わる中将姫伝説をもとに作られた作品。舞台となっている日は釈迦の命日の旧暦2月15日。ちょうど今頃だ。前場の最後に老尼と連れの女性が去っていく姿は、二上の峯を登って昇天する阿弥陀如来と菩薩なのだそうだ。根底にあるのは阿弥陀信仰。西方極楽浄土の考え方がわかるとより一層面白いのかもしれない。この日は満席。シテが観世清和さんだったから...
春の雰囲気たっぷりの帯をメルカリでゲット。揚羽蝶が舞う蒲公英のそばで春の妖精が踊っているような、もかわいい袋帯。こんなの締めたら、それだけで心がうきうきしてしまう。そんな帯を締めて、春の香たっぷりな一日にサントリー美術館へ。正倉院宝物の再現模造品に焦点を当てた展覧会。明治時代に奈良で開催された博覧会を機に、宝物の再現模造のプロジェクトが始まったのだとか。模造品というと聞こえが悪いが、材料や技法、構...
気づけばもう3月も半ば。今年は2月が寒かったせいか、今頃、梅が見ごろ。そして、東京は今週末にはもう桜が開花するらしい。梅も桜も同時に見られるなんて珍しい。そんな春の香りが漂うなか、先日、花見の起源についての話を伺う機会があった。起源には諸説あるけれど、もっとも日本の庶民の信仰に基づく説が、豊作起源のお祭りから生まれたというもの。古代の日本人は、自然現象の中に神秘を感じとり、自然の中のあちらこちらに「...