初めての文楽鑑賞
▼仕事に追われていると、あっという間に1週間が過ぎてしまう。忘れないうちに書き留めておかなくては。
先週土曜日、今年、3回目の「青山華の会」の催しで、国立劇場第200回文楽公演を鑑賞してきた。演目は九尾の狐の伝説による「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」。
公演の前に、劇場向かいの伝統芸能情報館で文楽の見方や演目の見どころについて、国立劇場の舞台監督歴20年という松尾宰氏にレクチャーをしていただいた。
「玉藻前曦袂」は、今年4月の「華の会」で、「道春館の段」を義太夫節浄瑠璃の人間国宝 竹本駒之助さんの女義太夫で少しかじっていた。その時、日本文化ジャーナリスト氷川まりこさんに、全体のストーリーをレクチャーしていただいていたので、流れはなんとなくわかっていたのだが、松尾氏が、眠くなるとか、パンフレットを読んでおかないと全然わかりませんよ、などと脅すものだから、もしかしたらつまらないのか? と不安であった。
しかし、意外や意外、面白かったし、人形遣いの見事さに眼が吸い寄せられたり、浄瑠璃の太夫だんの声に圧倒されたり、見所満載で寝てなんかいられなかった。
今回の公演は、3段の「清水寺の段」から最後の「化粧殺生石」までが演じられた。「化粧殺生石」が演じられるのは実に43年ぶりなのだそうだ。松尾氏の話では、この段は人気がなく、演じられてこなかったという。今回が最後かもしれないし、評判が良ければ、またやるかもしれないとおっしゃっていた。
しかし、これがなかなか面白かった。那須野が原に逃げた妖狐が退治されて、近づく人間や動物を死に追いやる殺生石となって、毎晩、座頭市や雷様、夜鷹や女郎などなど、いろいろな人に化けて賑やかに踊り狂うというフィナーレにふさわし華やかさと楽しさがあった。
途中、話がつながらないところがあったのだが、後から調べてみたら、妖狐を退治する陰陽師安倍泰成が那須野が原で獅子王の剣を見つける「十作住家の段」というのが抜けていたのだった。古典芸能というのは、洋の東西を問わず予習をして、ストーリーを頭に入れておくことが必要である。
さて、今回着ていったおきものはこちら
染色クリエーター加納寛二さんの工房の単衣と、正倉院の「牙撥鏤尺」の文様の名古屋帯。帯締めは赤系でもよかったかも。
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