『三輪』を鑑賞@梅若能楽学院会館
7月の梅若会定式能で、川口晃平さんが『三輪』を舞われるというので、出かけてきた。
『三輪』は、晃平さんによると「大和の三輪山を舞台に神代の恋物語と天岩戸神話が展開する古曲」。
大和国三輪の里に住む玄賓(げんぴん)僧都の庵に、毎日水を運んできてくれる里女がいた。ある日、玄賓がその女の住む三輪山を訪ねると、女体の三輪の神が現れ、玄賓に、神も衆生を救うために迷い、人と同じような苦しみを持つので、罪を救ってほしいと頼み、三輪の里に残る神と人との夫婦の昔語を語り、神楽を舞い、やがて天の岩戸の神話を語り、夜明けとともにその姿を消して、僧は夢から覚める、というお話。
舞台となっている奈良県の三輪の里は古代神話の故郷であり、三輪山全体をご神体に戴く。三輪の守は男神なのだけれど、それが女体となって現れ、 後半の神と人との婚姻物語、神代のはじめの天岩戸神話にむけて、舞台上の時空が古代へと引き戻されて行く。なんとも神秘的で幻想的なお能なのだけれど、ちょっと消化不良。
このお能は詞章をしっかり理解して、地謡の言葉をきちんと聞き取れるようにならないとだめだわ、と思った次第。現代語訳のお能ってないのかしら? って思ったりする。訳付きの謡本はあるのだけれどね。
もう一番は松山隆之さんの『自然居士』。こちらは勧善懲悪の活劇能。こちらはわかりやすいお話なので楽しめた。
ところで、この公演後、晃平さん、重要無形文化財保持者総合指定を受けたそうです。おめでとうございます。ますます励んでくださいませ。
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